銀行融資に申し込んだものの「審査に通らない」「減額された」という経験は、資金繰りだけでなく、事業運営にも大きな影響を与えます。

こうした事態に備えるには、銀行がどのような点を見て融資可否を判断しているのか、つまり審査に通らない要因をあらかじめ把握しておくことが欠かせません。加えて、万一銀行融資で資金を確保できなかった場合に備え、代替となる資金調達手段を知っておくことも、経営者にとって重要な準備といえるでしょう。

本記事では、事業者が知っておきたい銀行融資が出ない理由および銀行融資に代わる資金調達方法について解説します。 いざという時に役立つ内容ですので、最後までお読みください。

銀行融資が出ない企業の特徴8選

銀行融資を申し込んだものの審査に通らない、つまりお金が出ない企業の特徴として、以下の8点があります。

  • 税金や社会保険料などの滞納
  • 自己資金が少ない
  • 資金使途および必要額の根拠が不明瞭
  • 信用情報にキズがある
  • 決算内容が芳しくない
  • 借入過多
  • リスケ中
  • 事業計画書に信憑性がない

それぞれ順を追って解説します。

税金や社会保険料などの滞納

税金や社会保険料などの滞納があると、銀行融資は受けづらくなります。なぜなら、差押え等が発生するリスクがあるからです。 特に、税金の滞納は納税の義務を怠っていると判断します。また、滞納があると資金管理の甘さを疑われ、返済能力以前に信用面でマイナス評価となりやすい点にも注意が必要です。

融資申込では納税証明書の提出が求められることが多いため、銀行融資を受けるには滞納を解消し、未納がないことを証明する必要があります。

自己資金が少ない

自己資金が少ないと、銀行融資が受けられない恐れがあるので注意が必要です。 銀行は「当事者(経営者)がリスクを負っていない」「予期せぬ赤字や資金不足に耐えられない」と判断しやすくなるからです。

創業・新規投資では特に、自己資金の厚みは計画の現実味や返済余力の裏付けとして見られます。自己資金が少ないと、事業に対する本気度が欠如していると見なされる恐れがあります。 少なくとも月商の3ヶ月程度の準備が必要といえるでしょう。

資金使途および必要額の根拠が不明瞭

資金使途や、必要な金額の根拠があいまいであると、銀行融資を受けられないおそれが高くなります。これらが不明瞭であると、銀行融資は通りにくくなります。銀行は「何に、いつ、いくら使うのか」が明確でない資金に対して、目的外に流用されるリスクを想定し、慎重な判断を取るためです。

例えば、設備資金なら事業計画書を、また運転資金においては資金繰り表を作成して、必要額を説明できる状態が望ましいです。 資金使途や必要な金額の根拠を明らかにしておかないと、審査に通らない恐れが高くなるので注意しましょう。

信用情報にキズがある

代表者の個人信用情報に延滞などの異動情報がある場合、銀行融資が受けられない恐れが高くなります。銀行は融資審査の過程で信用情報機関を照会し、過去の返済状況や延滞の有無を確認するためです。特に中小企業では、法人の業績だけでなく代表者個人の信用も重視されやすく、個人側に問題があると審査が厳しくなる傾向にあります。

また、異動情報は一定期間登録され続けるため、すぐに挽回しにくい点も注意が必要です。情報が消えるまでの間は銀行融資に依存するのではなく、後述の銀行融資以外から資金調達する方法を検討する必要があるでしょう。

決算内容が芳しくない

慢性的な赤字や債務超過といった、決算書が示す財務内容が弱い場合、銀行融資が受けられない恐れが高くなります。

収入より支出が多い赤字では、返済原資が不足するという判断につながるからです。経常利益が赤字の場合、利息を支払うための十分な余裕がなく、融資の対象として適さないと見なされます。 また、赤字の理由と改善策を数字で説明できないと、将来の回復見込みが評価されにくくなります。

借入過多

借入が過大であると、銀行融資の審査で不利になりやすく、結果として資金調達が厳しくなります。なぜなら、借入残高が大きいほど返済負担が重くなり、追加で融資しても回収可能性が下がると判断されるためです。

審査では、借入金をフリーキャッシュフロー(当期純利益+減価償却費)にて何年で返せるか(債務償還年数)などから、返済余力がチェックされます。借入が多く、追加で借りる場合は資金使途や事業計画など綿密に作成し、銀行に対して納得してもらえる資料の作成が必須です。

リスケ中

返済条件変更(リスケ)中の企業は、原則として新規・追加融資を受けにくくなります。 銀行から見ると、リスケは「既存債務の返済が当初計画どおり進んでいない」状態を示すため、追加で資金を出しても回収が難しくなるリスクが高いと判断されやすいからです。

また、条件変更した融資は「貸出条件緩和債権」として扱われ得るため、金融機関内部の管理区分上も慎重な対応が求められます。 結果として、通常の融資先より審査のハードルが上がり、資金使途や返済見通しについて、より厳密な説明を求められがちです。

事業計画書に信憑性がない

事業計画書の信憑性が低いと、銀行融資は通りにくくなります。 金融機関は融資判断において、返済できる根拠を重視するため、計画の数字に裏付けがない状態では、返済可能性を確認できないからです。

売上だけが右肩上がりに伸びる前提でも、競合状況や販路・原価・人員計画といった根拠が伴っていなければ、計画は楽観的で再現性に乏しいものと判断されやすくなります。 そのため、銀行融資を受けるに際しては、実現可能な事業計画書の作成が必要です。

銀行融資以外から資金調達する方法

資金調達方法は、銀行融資だけではありません。企業の財務状況や資金使途によっては、銀行融資以外の手法が適しているケースもあります。

ここでは代表的な資金調達方法を挙げ、それぞれの特徴について紹介します。

  • 日本政策金融公庫
  • ABL
  • 出資を受ける
  • 補助金や助成金の活用
  • クラウドファンディング
  • ファクタリング

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、民間金融機関の融資を補完する政府系金融機関です。中小企業や創業期の事業者を支援する役割を担っており、民間銀行と比べて資金調達の相談がしやすい点が特徴です。

ただし、日本政策金融公庫は「通りやすいから簡単」というわけではありません。申込みにあたっては、事業計画書をはじめ必要書類が多く、審査では売上見込みや資金使途、返済原資の説明が審査時には必要です。

そのため、事業計画書の数字が試算表や資金繰り表と矛盾していないか、資金の使い道が資料で裏づけられているかなど、事前に整合性を点検しておくことが重要です。

ABL

ABL(Asset Based Lending)は、売掛債権や在庫、機械設備などの事業資産を担保として行う融資の総称で、「動産担保融資」とも呼ばれます。 2005年に動産譲渡登記制度が創設されたことで、不動産を保有していない中小企業においても利用しやすくなりました。

一方で、売掛先の分散状況や在庫の回転や担保価値の把握など、逐次モニタリングすることが前提となるため、資産台帳や売掛管理を正確な管理が必要です。

出資を受ける

成長性の見込める企業は、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から出資を受けることで資金調達が可能です。 出資の特徴として、返済義務が不要な点があります。また、社会的信用が高まり、自己資本が増加するため、企業の安全性が高まることが利点です。

他方、出資を受けることで、経営への関与(株主の権利)が発生することが生じます。 そのため、経営者は自分が考えている経営ができなくなる恐れがあります。持株割合によっては経営権を奪われる恐れがある点にも注意が必要です。

補助金や助成金の活用

補助金や助成金は、国や地方公共団体(一部は民間の団体で行っているものもあります)から支給される資金です。

補助金・助成金の特徴として、返済不要な資金である点です。そのため、返済のために資金繰りに悩む必要がありません。

反面、入金については後払いが多いため、あらかじめ自己資金が必要となるケースがあります。手持ち資金に余裕のある企業であれば有効な資金調達方法ですが、急な出費には対応できない点には注意が必要です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の支援者から資金を調達する方法です。

クラウドファンディングの特徴として、審査がない点があります。また、企業が掲げたアイデアが多くの人から共感を得られれば、目標金額以上の資金調達が可能です。方式によっては支援者への返済リスクがない点もクラウドファンディングの特徴です。

しかし、アイデアに共感が得られなければ、希望する金額が調達できないこともあります。また、掲げたアイデアが盗用されるリスクもある点にも注意しなければなりません。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権を譲渡することで、早期に現金化が可能な資金調達方法です。

ファクタリングの特徴として、借入ではない点があります。銀行融資では申込企業が審査対象ですが、ファクタリングでは売掛先が審査対象です。そのため、決算状況が芳しくなくても、売掛先の信用状況に問題がなければ、資金調達が可能となります。

また、早期の現金化が可能な点もファクタリングの特長です。 銀行融資の場合、審査に3週間から1ヶ月近くかかるのが一般的ですが、ファクタリングの場合、おおむね1週間以内に資金調達が可能です。中には即日現金化が可能な会社もあります。

一方手数料が必要な点もファクタリングの特徴です。手数料は、売掛先の信用度や売掛金額、売掛サイトにより手数料が違ってきます。 売掛先によっては審査に通らない恐れがファクタリングにはあります。ファクタリングを利用する場合には、できるだけ信用度の高い売掛先の債権を譲渡することがおすすめです。

まとめ

銀行融資が出ない背景には、税金や社会保険料滞納や自己資金不足、資金使途や申込金額のあいまいさなどさまざまな要因があります。すぐにでも改善できること、例えば税金の納付や事業計画書の見直しなどを行うことで、銀行融資を受けられることが可能となる場合があります。

加えて、資金調達の選択肢は銀行融資だけではありません。融資審査でマイナスに働く要素があっても、他の資金調達方法では全く問題がなく資金が確保できるケースがあることを、経営者は知っておく必要があるでしょう。

特にファクタリングは、決算状況が芳しくなくても、審査対象が売掛先であるため、審査に通る可能性もあります。現金化も銀行融資よりも早いため、急な出費にも対応可能です。

資金調達は、企業が事業を継続し、成長させていくうえで欠かせない経営テーマです。 本記事を参考に、自社の状況に合った手段を見極め、銀行融資に限らない幅広い資金調達を上手に活用していきましょう。