夏季賞与は従業員の意欲向上や人材定着につながる一方、企業にとってはまとまった資金が一度に流出するタイミングでもあります。 賞与の支給後に売掛金の入金が遅れたり、納税や仕入代金の支払いが重なったりすると、売上や利益が確保できていても、一時的に手元資金が不足する可能性があります。

資金不足が生じてから慌てて調達先を探すと、融資が間に合わなかったり、金利や手数料の高い方法を選ばざるを得なかったりするかもしれません。そのため、資金繰り表で入出金を把握し、賞与資金を早めに準備することが重要です。

本記事では、夏季賞与後に資金不足が起こる理由や予防策、穴埋め資金を確保する資金調達方法について解説します。

夏季賞与支給後に資金不足が起こりやすい理由

夏の賞与を支給すれば資金不足に陥ってしまう企業にはある特徴があります。 以下では、資金不足が起きやすい理由について紹介します。

  • 賞与支給で一時的に現預金が減少するため
  • 売掛金の回収までタイムラグがあるため
  • 納税や仕入れが重なるケースもあるため

賞与支給で一時的に現預金が減少するため

賞与支給後は、一時的に資金不足へ陥る企業が少なくありません。 なぜなら、賞与はまとまった現金が短期間で流出するため、手元資金が大きく減少するからです。

特に中小企業では、毎月の給与とは別に数か月分の人件費が一度に支払われることが多いので、現預金残高が急激に減少し、その後の仕入れ代金や経費の支払いに影響を及ぼす場合があります。

売掛金の回収までタイムラグがあるため

賞与支給後に資金不足となる理由の一つが、売掛金の回収まで時間がかかることです。

売掛取引では、商品やサービスを提供して売上を計上してから実際に代金が入金されるまで、通常30日~60日程度のタイムラグが発生します。

そのため、売上が計上されてもすぐに現預金が入金されないので、どれくらい先に入金されるのかを考えて、資金繰りを考えなければなりません。

納税や仕入れが重なるケースもあるため

賞与支給後は、納税や仕入れなどの支払いが重なり、資金不足に陥ることがあります。

賞与だけが資金流出の原因ではなく、消費税や法人税などの納税、原材料や商品の仕入れ代金など、多額の支払いが同時期に発生するケースも少なくありません。

納税資金や仕入代金の支払いが重なると、売上が順調でも一時的にキャッシュフローが悪化する恐れがあります。

夏季賞与後の資金不足を防ぐためのポイント

夏季賞与後の資金不足は、日頃から資金繰りを管理し、計画的に準備することで防げる可能性があります。 ここでは、賞与支給後の資金繰りを安定させるために押さえておきたい3つのポイントを解説します。

  • 資金繰り表を作成する
  • 賞与資金は早めに準備する
  • 複数の調達手段を確保しておく

資金繰り表を作成する

資金不足を防ぐには、資金繰り表を作成することが重要です。 なぜなら、利益が出ていても入出金のタイミング次第では手元資金が不足する場合があるためです。

資金繰り表では、売上金の入金予定および仕入代金、給与や賞与または納税などの支出予定を時系列で整理することで、将来の資金残高の把握ができます。

安定した資金繰りを維持するためにも、資金繰り表を継続的に作成・更新し、経営判断に役立てることが大切です。

賞与資金は早めに準備する

賞与資金は支給直前ではなく、早めに準備することが大切です。 支給間際になって資金調達を始めると、希望どおりの条件で融資を受けられない可能性があるためです。

金融機関は、企業の資金繰りや返済能力を確認したうえで融資を判断するため、余裕を持って相談するほど選択肢が広がります。

賞与支給を年間資金計画に組み込み、計画的に準備することが安定した経営につながります。

複数の調達手段を確保しておく

資金不足に備えるには、複数の資金調達手段を確保しておくことが重要です。 必要な時に一つの方法だけでは十分な資金を調達できない場合があるためです。

例えば、銀行のプロパー融資や日本政策金融公庫の融資、あるいはビジネスローンやファクタリングなど、それぞれ特徴や調達スピードが異なります。

平常時から利用可能な資金調達方法を把握および確保しておけば、急な資金需要にも落ち着いて対応できます。

夏季賞与支給後の穴埋め資金確保の効率的な調達方法5選

夏季賞与支給後に資金不足が生じた場合でも、状況に応じて適切な資金調達方法を選択することで、事業への影響を最小限に抑えられます。

ここでは、夏季賞与後の資金繰り改善に活用できる代表的な資金調達方法を5つ紹介します。

  • 銀行融資(プロパー融資、信用保証協会付き融資等)
  • 日本政策金融公庫の融資
  • ビジネスローン
  • ABL(動産・売掛債権担保融資)
  • ファクタリング

銀行融資(プロパー融資、信用保証協会付き融資等)

銀行融資は、金融機関から事業資金を借り入れる代表的な資金調達方法です。

主な種類には、金融機関が企業の信用力をもとに直接融資する「プロパー融資」と、信用保証協会の保証を付ける「信用保証協会付き融資」があります。

プロパー融資は一定の業績や取引実績が求められる一方、保証料がかかりません。

信用保証協会付き融資は、信用保証協会が債務を保証することで、比較的信用力の低い中小企業でも利用できる可能性があります。

銀行融資のメリットは、まとまった金額を比較的長い返済期間で借りることが可能です。賞与支給後の穴埋め資金だけでなく、その後の運転資金も含めて調達が見込めます。 また、借入実績を積み重ねることで、金融機関との関係強化につながる可能性もあります。

一方、プロパー融資の場合、審査が厳しく、審査から融資実行までに時間がかかる点がデメリットです。業績や財務内容によっては、希望する金額を借りられないこともあります。 信用保証協会付き融資では、金利とは別に信用保証料が必要になる点にも注意が必要です。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫の融資は、政府が全額出資する政策金融機関から事業資金を借り入れる方法です。 民間金融機関の取り組みを補完する役割を担っており、小規模事業者や個人事業主、創業者、中小企業などを対象としたさまざまな融資制度を設けています。 運転資金や設備資金に利用できる制度があるため、夏季賞与の支給によって不足した手元資金を補う場合にも相談できます。

メリットは、民間金融機関との取引実績が少ない企業や、創業後の実績が十分でない企業でも融資を受けられる可能性があることです。制度によっては、比較的長い返済期間が設定されており、毎月の返済負担を抑えながら資金を確保できます。

融資申込後に面談や書類審査が行われるため、融資実行まで一定の時間を要することがデメリットです。資金が必要になってから申し込んでも、希望する時期に間に合わない恐れがあります。 賞与支給後の資金不足に備える場合は、支給直前ではなく、余裕を持って相談することが重要です。

ビジネスローン

ビジネスローンは、銀行や消費者金融会社、クレジットカード会社などが提供する事業者向けの融資商品です。 決算情報や代表者の信用情報などをもとに、スコアリングシステムを活用して審査する商品もあります。原則として事業資金に利用でき、担保や第三者保証人を求めない商品が多いことが特徴です。オンラインで申し込みから契約まで完結するサービスもあります。

メリットは、一般的な銀行融資よりも審査や融資実行が早い傾向にあることです。商品によっては、申し込みから数日以内に資金を確保できる可能性があるため、賞与支給後に資金不足が判明した場合にも対応しやすいでしょう。提出書類が比較的少なく、金融機関との取引実績が浅い企業でも申し込みやすい点も利点です。

一方、銀行融資や日本政策金融公庫の融資に比べて、金利が高く設定される傾向があります。返済期間が短い場合には、毎月の返済額が大きくなり、その後の資金繰りを圧迫する恐れがあります。また、利用限度額が低く、必要な資金の全額を調達できないケースもあるので、慎重に利用することが重要です。

ABL(動産・売掛債権担保融資)

ABLとは、「Asset Based Lending」の略称で、企業が保有する在庫や機械設備、売掛債権などの事業用資産を担保として、金融機関から融資を受ける方法です。 不動産担保や経営者保証だけに依存せず、企業が事業を通じて生み出す資産の価値に着目しています。

メリットは、担保となる不動産が少ない企業でも、融資を受けられる可能性が広がることです。通常の融資枠に加えて資金を確保できる場合もあり、賞与支給後の資金不足だけでなく、仕入れの増加や受注拡大に伴う運転資金の確保にも活用できます。 また、金融機関が在庫や売掛金の推移を継続的に確認するため、企業の事業内容や商流をより深く理解してもらえる点もメリットとしてあります。

一方、担保となる資産の評価や管理に手間がかかる点がデメリットです。企業は在庫数量や売掛債権の回収状況などを定期的に報告する必要があり、管理体制の整備が求められます。資産の種類や換金性によっては、評価額が想定より低くなることもあります。

すべての金融機関がABLを積極的に取り扱っているとは限らず、審査や契約に時間がかかる点にも注意が必要です。

ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、取引先からの入金期日より前に現金化する資金調達方法です。

ファクタリングには、利用企業とファクタリング会社で契約する「2社間ファクタリング」と、売掛先を含めて契約する「3社間ファクタリング」の2つの手法があります。利用者は、それぞれの事情を勘案して選択できます。

ファクタリングのメリットは、売掛金の入金を待たずに資金を確保できる点です。融資よりも短期間で現金化が可能であり、夏季賞与支給後に生じた一時的な資金不足への対応に活用できます。 また、審査は主に売掛先の信用力も重視されるため、赤字や債務超過の企業でも利用可能です。借入金ではないため、通常は貸借対照表上の負債が増えない点も利点といえるでしょう。

デメリットとして、売掛債権の売買のため、売掛債権の額面以上の資金調達ができない点があります。また、ファクタリングには手数料がかかるため、売掛債権金額から手数料が差し引かれるのが一般的なため、本来の入金額よりも受け取れる資金が少なくなります。

継続的に利用すると利益や資金繰りを圧迫する恐れもあるので、自社の資金繰りとを照らし合わせて利用することが重要です。

KKT株式会社は、お客様がファクタリング会社を選ぶ際に重視されている手数料率において、業界でも最低水準を実現しています。手数料以外の追加費用は一切かからないため、安心して利用できます。

夏季賞与後の、資金が途切れがちな時期や急ぎの資金ニーズが発生した場合でも、スピーディーな現金化が見込まれます。

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まとめ

夏季賞与の支給後は、現預金が大きく減少するだけでなく、売掛金の回収前に納税や仕入代金などの支払いが重なり、資金繰りが悪化する場合があります。

こうした一時的な資金不足を防ぐには、資金繰り表を作成して将来の入出金を把握し、賞与支給の直前ではなく、余裕を持って資金を準備することが大切です。

実際に資金調達が必要となった場合は、銀行融資や日本政策金融公庫の融資、ビジネスローンまたはABLやファクタリングなど、それぞれの特徴を比較して選びましょう。

特定の調達方法だけに頼らず、平時から金融機関との関係を築き、複数の選択肢を確保しておけば、急な資金需要にも対応しやすくなります。早めの把握と準備が、安定した資金繰りにつながります。